成年後見制度の「補助人」についてざっくり解説

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成年後見人制度では、本人が既に「意思能力」が無くなってしまっていると、「法定後見人制度」を利用することになります。

そして本人の状態や事情によって、保護する人は「後見人」「保佐人」「補助人」に分かれます。

類型 本人の状態
成年後見人 判断能力が欠けているのが通常の状態の方
成年保佐人 判断能力が著しく不十分な方
成年補助人 判断能力が不十分な方

これらは最終的には家庭裁判所が判断しますが、普段お世話になっている福祉専門職の方、医師と相談の上、類型を選んで申立てをします

判断が難しい場合は医師による鑑定を行います

補助人の場合は診断書に「補助相当」との記載で、鑑定を受けることは余りないと言います。

補助人の選任には、本人の同意が必要となります。

今回はその中の「補助人」について、解説していきます。

補助人の権限は?

被後見人を保護する「後見人」、被保佐人を保護する「保佐人」、被補助人を保護する「補助人」はそれぞれ、与えられる権限が違います。
成年後見人制度の「補助人」は、どのような権限があるのでしょうか。

補助人の権限

補助人には重要な法律の中の一部に関して「同意権」と「取消権」と「追認権」があります。

そして基本的には「代理権」がありません。

保護者(法定後見人等)の権限

■ 同意権  本人が法律行為をするときに、保護者(後見人等)に同意するかしないかを判断する権利

■ 取消権  本人が法律行為を同意を得ずにしたとき、契約を取り消せる権利

■ 追認権  本人が法律行為を同意を得ずにしたとき、本人に不利な物でなければ認める権利

■ 代理権  本人に代わって、保護者が法律行為を行う権利

「認めること」も権利が与えられているの?
本人が通販で、高級布団を買ってしまったとします

■ 相手は客が「意思能力がない人」とは知りません。

■ しかし、事情を聞いた販売店は売買契約が宙に浮き、「キャンセル」か「買い物続行」かの返答を待つことになります。

■ それを保佐人が、判断を下す権利にあたります。

■ 「キャンセル」なら「取消権」、「今使ってる布団はボロボロになったし、買っても良いかな、、」と言うなら「追認権」を発動させます。

■ それで販売店は、宙に浮いた売買契約を進めることができます。

「追認」されると、行為は法律的に確定されます

補助人が保護する本人(被補助人)は、意思能力が不十分とは言え程度が軽く、「単独で法律行為ができる人」とされています。

「法律行為」ってどんな行為なの?

売ったり、買ったり、貸したり、借りたり、契約を結んだり、契約を解除したり、すること全般です。

チョコレートを100円で買うこと1つ見ても

100円払うことで、チョコレートを受け取る権利が生まれる「法律行為」です

原則、本人(被補助人)は単独で法律行為ができるとしても、「ある重要な法律行為の一部」に関しては、補助人の同意が必要となります。

本人が「ある重要な法律行為の一部」を、補助人の同意なく行った場合、補助人はその「重要な法律行為の一部」を取り消す権利があります。

そして「ある重要な法律行為」とは、民法13条1項の事です。

民法13条 1項
(1)元本を領収し、又は利用すること。
(2)借財又は保証をすること。
(3)不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
(4)訴訟行為をすること。
(5)贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成15年法律第138号)第2条第1項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
(6)相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
(7)贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
(8)新築、改築、増築又は大修繕をすること。
(9)第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。
(10) 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第17条第1項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。

こちらの記事で、解説しています。

民法13条1項に定める行為ってどういうこと?分かりやすく解説
民法13条1項に定める行為 成年後見制度では「保佐人」が「取消権」を使える範囲を「民法13条一項」に定めています。 保佐人は、本人(...

そして、重要な法律行為の「一部」とは、補助人選任の申立てのとき、家庭裁判所に審判を受けた項目のことです。

保佐人のときは「民法13条1項」を全て網羅して同意権が付与されましたが、補助人はその権利がもっと限定的になります。

なので、家庭裁判所に「民法13条1項」の中の、不動産に関わる項目だけ同意権を貰うなどの審判を受けます。

補助人の権限拡張

補助人が本人を保護している過程で、想定外のトラブルに巻き込まれることもあるかもしれません。

その想定外のケースが「民法13条1項」の範囲外であったとします。

この時、補助人は取消権を使うことが出来ません。

そして「想定外のケース」に対して、家庭裁判所に「同意権・取消権」を拡張してもらえるよう申し立てる事もできません

保佐人は民法13条1項を超える範囲で、同意権をもらうことが出来ても、補助人はそれができません

日用品の買い物などの、日常生活に関しての行為も認められません

また補助人は基本的に「代理権」がありませんが、その権限を拡張させることができます。

補助人が代理権を拡張して持つとき

■ 代理権が必要な「ケースA」という事案が起きた時、「ケースA」だけに対しての「代理権付与」の申し立てを家庭裁判所に行う

■ 本人(被補助人の同意を得ること)

また、本人の居住用の不動産を売ったり、貸したり、担保に入れるなどの行為は、補助人といえども家庭裁判所の許可が必要になります。

まとめ

補助人の場合、本人(被補助人)は「単独で法律行為ができる」という立場なので、本人の意思を尊重させる色合いが強く、後見人のような包括的なサポート権限ありません。

本人の「出来ること」が少なくなってくると、代わって行わなければならない事が増えてきます。

そうなると、その都度「代理権」の追加申立てをしなければならく、その都度本人同意も必要になります。

本人同意は同意書作成が困難であれば、家庭裁判所で「面接」によって、確認することもありますが・・

補助人と被補助人という関係だと、本人の症状が悪化した時、サポートをしきれなくなる可能性があります。

類型を一「後見人」と「被後見人」に変更したくなるかもしれません。

その場合は、新たに「後見人選任の申立て」を、家庭裁判所に行うことになります。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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