【空き家の相続放棄】決断の前に知っておくべきデメリット

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ブログへのお立ち寄り、ありがとうございます。

近年「残された実家の空き家を相続放棄したい」という人が、多くなっていると言います。

一見「実家の空き家を相続放棄」すれば、メリットのない物件を手放し、解放されると思われがちですが、そうならないケースか続出してます。

もちろん、自分が相続放棄しても、兄弟などが相続してくれるのなら、特に問題はありません。

この記事では、空き家となる実家の相続を、自分も含めて誰もいないケースで起こることを、説明していきます。

前提として自分が第一順位の相続人だったとして書いていきます

結論から言って、どうしても負の物件を相続したくないのなら、仕方ありませんが「相続放棄はあまり得策ではない」というのがこの記事のゴールです。

尚、不動産以外で多額の借金があって、その為に相続放棄をするという方は、仕方ないのかもしれませんが、専門家に相談してみると良いですね。
相続してどうするか?の参考記事はこちらを覗いて見てください。
◆相続放棄をすると起こるデメリット 

1)相続放棄で、親族に迷惑がかかりトラブルも
2)相続放棄しても、管理責任が付いてまわる
3)固定資産税の支払い義務が生じる場合がある
4)相続放棄をすると、家財道具から物件まで手を出せない

今回はこれらについて、解説していきます。

これらを全て網羅するには、1冊の本になるくらいの文字量が必要です。

それぞれ自分の事情に当てはめるなら、やはり専門家に相談することをお勧めします。

ただ、この記事を最後まで読むと、ざっくりとした概要が解ります。

前提として、次の5つは頭に入れておきましょう。

■ 相続放棄をすると、あとで撤回ができない。

■プラスの財産も、マイナスの財産も受け取らない

■ 相続放棄は
①被相続人(多くの場合、親や配偶者)が亡くなったと知った時・・
②自分が相続人となると知った時・・
から3ヶ月で行なわないといけない

■ 被相続人や、ほかの相続人と「相続放棄」について書面に書いて、取り決めをしていたとしても、家庭裁判所に申し立てをしなければ無効

■ やみくもに空き家になった実家の家財道具を整理、片付けをすると、相続放棄が出来なくなる場合がある・・・詳しくはこちら

【実家の空き家物件】相続放棄で、親族に迷惑がかかりトラブルも

親が亡くなり、残された実家の不動産は空き家になるとします。

実家の物件は買い手もつかなそうだし、相続は放棄してしまおう…

そんな場合は、自分の他の親族が新たな「相続人」に繰り上がってしまいます。

相続人には、相続する権利の順位が決まっています。

第一順位   亡くなった人の配偶者・子供
第二順位   亡くなった人の親
第三順位   亡くなった人の兄弟姉妹

空き家問題では多くの場合、第二順位の「親の親」は亡くなっているケースが多いので、「親の兄弟」に相続権が移ります。

または自分の兄弟です。

自分の兄弟や親の兄弟が疎遠の場合、連絡手段が難しく、あとで知られてトラブルになる事が起こってます。

相続放棄するのであれば、このあたりも理解して、きちんと連絡をすることが大切です。

また、亡くなった人に離婚歴があり、前妻や前夫の間に子供がいれば、その子供も相続人の権利があります。

その子供が前妻や前夫と暮らし、新しい父や母ができ、新しい父や母がの養子となってもです。

特別養子縁組をした場合は、相続人にはなりませんが、ほとんどのケースは一般養子縁組です。

一般養子縁組は、実親の相続権があります。

【実家の空き家物件】相続放棄しても、管理責任が付いてまわる

苦労して必要書類を作り、家庭裁判所に「相続放棄」の申し立てを行い、認められたとします。

これで実家の空き家問題から解放された、と言う訳にはならないのが普通です。

民法第940条

相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない

つまり、こう言うことです

■ 相続放棄をした人は、次の相続人が決まり、管理を始められるようになるまで

■ 自分の財産と同じように、注意して管理し続けなければいけません。

次の相続人とは、相続順位が後ろの人が繰り上がって相続人となった場合です。

誰も相続したくないって、みんな「相続放棄」したらどうなるの?

その場合は、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任します。

相続財産管理人は弁護士などが選任される事が多いです。

相続財産管理人を家庭裁判所に選任してもらうには

■ 家庭裁判所に「選任申立て」をする
■ 家庭裁判所に予納金50万円から100万円を一括で支払う
■ 「選任申し立て」から相続財産管理人が選任されるのに最短でも1年かかる

そして相続財産は清算され、残った物件などが国に収められるという流れが法律で決まっています。

ポイントなのは、「相続財産管理人」が決まり、管理が始められるようになるまで、相続放棄した人が、自分の物と同様に、管理責任を負わないといけないという事です。

しかし実際には、このような流れにスムーズに流れる事はほとんどないのが現実です。

何故かと言うと、家庭裁判所が誰かを「相続財産管理人」に選任するには、誰かが家庭裁判所に選任請求しなくてはなりません。

「選任申立て

選任された「相続財産管理人」も業務で引き受けるので、費用がかかります。

「予納金  50万~100万を家庭裁判所に一括支払い」

それを支払うのは、結局家庭裁判所に請求した人になります。

裁判所に請求するのは、「早く相続財産管理人が決まって欲しい」と思ってる人しかいません。

つまり請求者はほぼ、相続放棄をした人になります。

結局、相続放棄した人は「相続財産管理人」が決まるまで、管理責任を負い、ようやく決まったとしても、「相続財産管理人」に費用を払うことになります。

さらに問題があります。

法律では「相続財産管理人が空き家の土地を国に収める」となっていますが、実際にはそれも簡単にはいかないケースが殆どのようです。

つまり国も「売れない土地はいらない」となるからです。

「実状では相続放棄された不動産の、1割程度しか国庫に返納されないようです」

いつまでも返納できない不動産の管理には、相続財産管理人への管理費用を継続して支払う可能性もあります。

参考元…▶▶▶

結局、苦労して「相続財産管理人」まで選任にこぎつけたのに、いつまでも「相続財産管理人」に管理代金を払い続けることになるかもです。

「これなら、相続して固定資産税を払い続けた方が安くついた!」なんて事になりかねません。

【実家の空き家物件】固定資産税の支払い義務が生じる場合がある

実家の空き家を相続放棄したのに、固定資産税の支払わなくてはならないケースがあります。

それはタイミング、時期によって起こる事です。

固定資産税は、本来「相続放棄した人」にはかからない物です。

それがタイミングが悪いと、相続放棄した後も支払い義務が生じてしまいます。

ここで、固定資産税について前置きしておきます。

◆固定資産税のしくみ 

1)1月1日の時点で、不動産の所有者が支払う
2)所有者とは「課税台帳」に登録されてる人
3)所有者が亡くなると、事務的に(自動的に)相続人の名前が課税台帳に載ってしまう

変な話ですが、そういうルールのようです。

もし、被相続人(親など)が亡くなったのが、11月15日だとします。

すると本来、熟慮期間は3ヶ月あるので、2月14日まで、相続放棄をするか否かを決めれば良いのですが。

2月14日に「相続放棄」を認められても、1月1時点で、事務的に相続人の名前が課税台帳に載ってしまってるんです

それで固定資産税の支払い義務が、生じてしまいます。

これを「課税台帳主義」と言います。

過去の裁判の判例を見ても、この課税台帳主義は覆せないようです。

あとで相続財産管理人などに請求できるという法律もありますが、実際のところ難しいようです。

【実家の空き家物件】相続放棄をすると、家財道具から物件まで手を出せない

実家の不動産屋を相続放棄すると、故人の財産を好き勝手に処分したり、持ち出す権利もなくなります。

前述した「前提として知っておくべき5つのこと」でも書いたように…

相続放棄をする前に、家財道具の持ち出しや建物の処分や改装など行うと、「相続放棄の意志がない」と判断されます。

ただ、思い出の写真やアルバム、資産価値のない形見などは、持ち出すことは問題ないとされてます。

問題なのは「資産価値があるもの」なので、ゴミを捨てるのは大丈夫ですが、資産価値がありそうな洋服や家電製品、バッグ、骨董品などは、処分や持ち出しは出来ません。

つまり、相続財産管理人が専任されるまでは、遺品整理もままならないのです。

とは言え、どうしてもの場合、「財産目録」を付けて、写真を取っておくなどする方法もありますが、専門家に相談した上で行うのが良いです。

また空き家物件は、相続放棄後も管理責任が付いてまわります。

その為、保存行為は認められています

保存行為とは「相続財産の価値を現状維持するための行為」です。
■ 腐りやすい物をすてる
■ 故人が利用した、買ったもので、相続するべき日に支払期限が来てしまっているものに、故人の財産から支払うのも、保存行為となります。
→ 故人の治療費もそうです。
過去の判例から葬祭費も、相続財産の中から支払っても「相続の意志あり」と見なされることはないとなってます

「相続する意志があるとみなされる」か、「保存行為」とみなされるかは、それぞれのケースによっても見られ方が変わってきます。

専門家に相談して、判断するのが賢明です。

まとめ

これまで相続放棄の仕組みについて、ざっくりと書きました。

空き家になった実家の責任から、完全に免れるのは困難な道のりが待っている事が解ります。

相続放棄は、故人の多額の借金を回避するためなら、仕方がないと思います。

でも「価値のない不動産だから」という理由だけで、相続放棄するのはリスキーな選択だと思います。

土地の価値は普遍的なもの?

土地の価値は、時代によって変わります。

貧富の差が激しいアメリカの話ですが、昔はバスや地下鉄の駅の周辺の地価は高いものでした。

しかし移民が増え、経済格差が広がると富裕層は、交通アクセスの悪い郊外や、丘の上に住宅を建て始めました。

車を持てない貧困層が、近寄れない場所だからです。

そうして駅周辺の地価は下落し、「アクセスが不便な場所」は高騰しました。

これはアメリカの話ですが、日本でも格差社会は色濃くなってます。

また、昨今の新型コロナウィルスの影響で、リモートワークが急速に進みました。

どこにいても、仕事が出来るという人々が急速に増えたことになります。

その人たちは、高い家賃を払って都会に住む意味も無くなりました。

もしかしたら、今まで見向きもされなかった土地が、注目を集めることもあるかもしれません。

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