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実家の空き家相続問題は、突然やってくる事は少なくありません。
遠い将来と思っていたら、いきなり…
部屋はどこから手をつけて良いか解らないし、悲しみも束の間、空き家問題が頭を悩ませます。
相続するか?
相続を放棄するか?
決断は親が亡くなった日から、3ヶ月でしなければなりません。
この記事では、空き家になった実家について、とりあえずザックリとした概要を書いています。
ちょっとボリューミーな記事ですが、専門書を1冊読むよりは、あっという間に「およその事」は掴めます。
実家の空き家問題について、大まかに掴んでから専門家に相談したり、専門書を読んだ方が理解もスムーズです。
空き家となる実家は資産になるか、負債になるか
「売る」「相続放棄する」「とりあえず放置」とか決める前に、残された実家が資産となるものなのか、負担を強いられるものなのか、冷静に見極める必要があります。
相続の決断には、3ヶ月の熟慮期間がありますから、色々な線で考えてみましょう。
相続税のことのに関しては、こちらの記事で紹介しています
残された実家が資産となるか、負債となるか、の判断基準を説明します。
今回はこの基準で見ていきます。
一言で言うと、実家にかかる管理費と、固定資産税を賄えて、尚かつお釣りが来るような需要があれば、資産と言えます。
立地や面積、歪な土地形状、抵当権の問題などで、その需要が見込めなければ負債ですね。
負債の場合、実家を相続した時、文字通りお金を消耗する事になります。
実家を相続したら、まず相続税がかかります。
実家を相続したあと、実家をそのまま寝かせると、以下のような管理費がかかります。
相続した実家にかかるお金
①固定資産税
→地域によってはプラスで都市計画税もかかる
②水道光熱費
→定期的な掃除に電気、水道が必要
③建物管理費
→掃除や管理に来るための交通費
→管理を業者サービスに依頼する場合はその費用
(月5,000円~10,000円前後)
④火災保険料
→漏電など、もしもの備えに
上記のように、相続したあと放置すれば、お金を消耗し、実家は負債となります。
詳しくは下の記事に書いています
「売る」にしても「貸す」にしても、何かしらアクションは起こさないと負担は大きくのしかかります。
ただ「売る」と決めても、需要がなければ、いつまでも負債のままです。
古い実家に需要が有るか否かの見極め方は、色々ですが、シンプルに見るならこうです。
その地域の人口が増えてるか?減ってるか?
15年前と比べ、人口が増えているなら需要が見込めますし、減ってるなら、なかなか借り手や買い手が見つからない可能性が濃くなります。
あくまでも可能性の話で、絶対ではありませんが。
各地域の人口推移は、区市町村のホームページで確認できますので、見極めのヒントにしてみてはどうでしょうか。
【実家の空き家】負債となる場合の選択肢
もし実家の土地や建物を負債だと考えるなら、どのような選択肢があるのでしょうか。
一般的には。この3つです。
相続を放棄する
家の実家が負の財産、負動産だということで、親からの相続を放棄するという方が増えています。
相続放棄は、死亡日から3か月以内に決めなくてはなりません。
この期間を「熟慮期間」と言います。
相続放棄は家庭裁判所に申し立て、書類を提出しなくてはいけません。
もし生前に取り決めを交わしていたとしても、書面に残していても、家庭裁判所を通さなければ無効となります。
相続放棄は、申請が通ると撤回できません。
ここで、相続のルールについて、少し確認してみます。
プラスの財産も、マイナスの借金もすべて放棄しなくてはならない
親からの贈与は放棄するのであれば、今回の土地や建物の不動産、その他預貯金や借金も全て放棄することとなります。
例えば、空き家に残された家電や美術品なども、持ち出しはできませんし、勝手に処分もできません。
そして全ての相続人が、相続放棄をしたとしても、裁判所が「管理人選任」を指定するまでの間、相続人でなくても、子供が管理責任を負う事となります。
長男、二男などに関係なく、相続放棄した人全員に管理責任が付いてまわります。
空き家は人が住まなくなると、みるみる損傷していきます。
近隣の住民に被害が及ばないよう、定期的に管理する責任は相続放棄後も背負うことになります。
そして誰も相続人がいない物件は、ゆくゆくは国庫に納められる事となります。
うかつに「遺品整理」をやってしまうと、相続放棄が出来なくなるケースがあります。個人の財産を放棄する意思が無いと取られます。
相続人には順番が決まっていて、「相続放棄」で後ろの順番が繰り上がる
法律では相続する人の優先順位が決まっています。
これを相続順位と言います。
父親が亡くなった場合、相続する人は配偶者の母親、そして子供たちです。
これが第一順位だからです。
多くの場合、残された母親が亡くなって、子供たちに相続の問題が降りかかります。
そして子供たちが、相続を放棄したとします。
すると相続人は順位の低い間柄の人が、自動的に繰り上がります。
第二順位は亡くなった人の親、第三順位は亡くなった人の兄弟姉妹です。
この場合、母親の親が亡くなってれば、母親の兄弟姉妹が相続人に繰り上がります。
よって、その旨を相続人に伝える事が求められます。
これを伝えずに、トラブルになるケースがあります。
父→母の順で亡くなった時、父の遺産分割協議はしてあるか?
父親の名義の物件で、父親に先立たれ、その時に「遺産分割協議」をやってないと、あとで母親が亡くなった時、「家の名義は父親名義のままだった」となります。
そうなると相続にしても、相続放棄にしても、少し複雑な話になってしまいます。
このようなケースでは、相続関係に強い弁護士や司法書士など、専門家に相談しましょう。
▶▶▶ 相続サポート
問い合わせや事前相談を、メールで行うことができます。
相続税については、こちらの記事にまとめてます。
ちなみに「相続放棄」はデメリットが多い選択で、あまりお勧めできない方法です。
詳しくは、こちらの記事で紹介しています。
相続して実家を売る
需要が見込めない実家を売るのは、とてもハードルが高い事かもしれませんが、早めの行動を取るべきです。
建物は築25年を超えると、価値が付かないケースが多くなります。
すると土地の値段だけで、売ることになります。
坪数×坪単価です。
各地域の坪単価は、こちらが参考になります。
しかし、空き家問題が深刻化し、さらに人口減少などによって、多くの「需要がない空き家」は、土地価格を相場の半額にしても売れないことも少なくありません。
建物の見たくれが悪い場合、リフォームするか建物を壊し更地にして売り出せば、少しは需要も高まるかもしれません。
元々需要が見込めない土地なら、リフォームはリスキーです。
しかし建物が古くても、作りがしっかりしていれば、最近需要が増えている「田舎の古民家」のように、そのままでも買い手が付くこともあります。
注意!
■ 「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん」と言って、売った後で目に見えない部分に欠陥があった時、売主が補修費用を支払う責任を負うケースがあります。
■ 1981年5月31日以前に建築された住宅の場合、現在決められている耐震基準を満たしていない可能性が高いので、注意が必要です。
耐震補強が必要かも知れません。
また更地にすると、固定資産税はグンと高くなります。
更地の状態で長く売れ残ると、固定資産税の支払いも大きな負担となります。
更地のすると「非住宅用地」となり、6分の1をかけなくなります。
ここの判断は、プロである不動産屋さんに相談した方が賢明です。
実は売りにくい土地でも、お隣さんが買い手となるケースが凄く多いんです
「隣の土地は倍出しても買え」と言われるくらい、隣地は色々使えて魅力的なんです
今は「一括査定サイト」はどこも無料が当たり前となり、多くの人が利用してます。
手っ取り早く売るなら、そういう手段もありだと思います。
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とりあえず相続して、しばらく考える
意外と多くの人がとる選択ですが、前述したように、その間も税金や管理費がかかります。
「あとで…」と先延ばしすると、ズルズルと月日が流れてしまいます。
世の中に「0円」とか「1円」なんて物件があるのは、タダでも良いから負動産を手放したい!って人が多いからです。
とは言え、焦って決めても後悔する可能性が高くなります。
もしかしたら、思わぬ活用法が見つかるかもしれません。
ある程度、期限を区切って専門家に相談したり、熟慮しても良いかもしれません。
負債となる場合の選択肢 まとめ
負債となり得る実家であれば、早めの決断と行動が良いのは間違えありません。
先延ばしにしていると、空き家になった建物は劣化が加速します。
すると更なる資産価値の下落、管理費用の増大が起こりますし、区市町村から「特定空家等」の指定を受けると、固定資産税は6倍にも跳ね上がってしまいます。
とは言え、実家を相続するかどうかの判断は、3ヶ月の猶予があります。
相続放棄の前に、空き家となる実家の別の活用法があるかも知れません。
記事の最後に実家の活用法を、書いてありますのでそれも参考にしてみてください。
自治体の「空き家バンク」を利用してみる
各自治体による「空き家バンク」という制度も活用してみてはどうでしょうか。
自治体の空き家対策の一つで、年々「空き家バンク」を対策に取り入れる自治体が増えています。
市町村と都道府県で対策されていて、市町村では約6割強の自治体で取り入れています。
空き家バンクの仕組みはシンプルで、空き家を抱える地主が地元の市町村で「空き家バンク」に登録します。
登録された空き家は、インターネット上で公開され買主や借主候補が閲覧します。
そしてマッチングさせるという仕組みです。
ただ、マッチング後は各々で、売買契約や賃貸借契約を結びます。
一般的には自治体と提携した「宅建業者」が、間に入って交渉します。
地元の自治体に、相談してみてはいかがでしょうか。
家売買マッチングサイト「家いちば」を利用する
こちらは不動産の売主と買い手を結ぶ、マッチング掲示板です。
登録料は無料です。
買い手が見つかると、個人間で売買契約を結ぶか、間に宅建業者を入れて売買契約を結びます。
マッチングした後に、手数料がかかりますが、不動産屋さんとは比較にならないほどリーズナブルな手数料です。
▶▶▶ 家いちばを見てみる
「タウンライフ土地活用」を利用してみる
こちらも無料で利用できます。
申し込みをすると、複数の専門業者が立地や面積、形状から市場ニーズを導き出して、土地活用プランを作成してくれます。
ここまでが無料で、その後どこかの業者のプランとマッチングすると、その業者と契約を結びます。
もちろんマッチングしなければ、何も起こりませんが、結構なアイデアが貰えるのがメリットです。
デメリットは各業者からダイレクトメールが届くようになるので、「捨てアド」を登録に使うと良いです。
捨てアドを持ってない方は、こちらの記事で捨てアドの作り方を紹介してます。
【実家の空き家】資産となる場合の選択肢
実家の地域が活性している、人口流入が多いなどの場合、売るにしても貸すにしても需要が見込め、メリットを生み出すことが出来ます。
なので選択肢は、きりなく広がりますが、一般的に多いのは、次の4つです。
4)の多額の借金が見つかり、相続放棄する例は、今回の記事「空き家対策」の論点からズレるので省略します。
空き家となる実家を売る
需要が見込めるような実家なら、なるべく満足いく値段で売りたいところです。
家を売るには、不動産会社に仲介して貰うのが一般的です。
その時、不動産会社と結ぶのが「媒介契約」です。
媒介契約には3種類の契約があって、どれかを選ぶことになります。
種類1:専属専任媒介契約
専属専任媒介契約 (契約期間3か月)
・1社の不動産会社としか、仲介をお願いできない
→ 他の不動産からの送客は、契約会社を介さないといけない
・知人や自分で買い手を見つけて売買することもできない
・週に1回、不動産会社は売主に、状況報告をする義務がある
・5日以内に、レインズに登録しなくてはいけない
レインズに登録するという事は、業界に物件を公開したことになります
種類2:専任媒介契約
専属専任媒介契約 (契約期間3か月)
・1社の不動産会社としか、仲介をお願いできない
→ 他の不動産からの送客は、契約会社を介さないといけない
・知人や自分で買い手を見つけて売買することができる
・2週に1回、不動産会社は売主に、状況報告をする義務がある
・7日以内に、レインズに登録しなくてはいけない
種類3:一般媒介契約
一般媒介契約 (契約期間はない)
・複数の不動産会社に仲介をお願いできる
・知人や自分で買い手を見つけて売買することもできる
・不動産会から売主への状況報告の義務はない
・レインズに登録しなくても良い
一般媒介契約だと、あまり不動産屋さんは一生懸命になってくれにくい
このような3種類の契約がありますが、一般的には「専属専任媒介契約」が、不動産を一番熱心にさせると言われます。
ただし、不審な動きをする不動産会社もあるので、3か月の様子見で別の不動産会社にお願いしても良いかもです。
本来は禁止されている「売り止め」や「両手持ちのための囲い込み」などをする会社もあります。
詳しくは、こちらの記事に書いています。
また建物をそのままで売るのか、リフォームして売るのか、更地にして売るのかは、不動産会社と相談して考えましょう。
中古物件のリノベーション需要
建物が古くても、作りがしっかりしていれば、そのままリフォームしない方が良いケースもあります。
近年人気が高まっている、中古物件のリノベーションです。
更地の土地を購入して、新たに新築を建てるより安く付くからです。
この場合、かえってリフォームしてしまうより、完全に買い手の好みにカスタマイズしたいというニーズがあるので、そのまま引き渡す方が好まれます。
このニーズは、都心でなくても需要があります。
田舎の古民家の需要が、高まっていることでも知られています。
注意!
1981年5月31日以前に建築された住宅の場合、現在決められている耐震基準を満たしていない可能性が高いので、注意が必要です。
耐震補強が必要かも知れません。
空き家となる実家を貸す
一口に貸すと言っても、住居、オフィス、店舗、駐車場、トランクルームなどなど多岐に渡ります。
ここでは、「住居として貸す」に焦点を絞って書いていきます。
戸建て住宅として貸す
実家の建物を残して、戸建て住宅として貸すには次の2つの選択肢が多いです。
戸建ての賃貸は、転勤族のファミリ層などに、需要があります。
戸建ての空き家 リフォームして貸す
築年数が浅ければ、設備や仕様も新しく、そのままかせることもありますが、少し手を入れた方が借手が見つかりやすくなります。
この手のリフォームの場合、床や壁紙などに目が行きがちですが、最も注力すべきは「水回り」です。
水回りさえ、新しく生活になっていれば、内見に来た人にも、かなりの好印象を与える事ができます。
戸建ての空き家 そのまま貸し出す
需要が見込める地域、築年数も浅い物件なら、リフォームなしで貸し出せる可能性もあります。
ただし、修繕などのメンテナンス費がかかる事も念頭に置いて考えましょう。
アパート・マンションにして貸す
需要が見込める立地なら、資金はかかりますが、物件は資産になります。
ただし見込みを誤れば、大きなリスクにもなり兼ねないので、慎重に考えましょう。
戸建ての場合、アパートやマンションにするには、一度更地にして新しく建て直す事になります。
ただ、それより簡単なリフォームで、シェアハウスのような構造も一つの手です。
物件がマンションの場合は、水回りのリフォームと、室内を明るく見せる工夫で借り手が付きやすくなります。
家賃の相場や、管理など、不動産会社と相談して決めていきます。
空き家となる実家の土地を寝かせる
これは個人的には、余りお勧めしません。
今現在、地域の地価が上昇の兆しが濃厚だとしても、昨今のコロナのように、どのような事が起こっても不思議でない時代になりました。
近くに大型ショッピングセンターが出来る予定がある、なんて場所であったとします。
当然地価の高騰は目に見える物件ですが、予期せぬ大不況によって頓挫してしまったらどうでしょうか。
地価も大きく下落します。
また2020年8月より、不動産取引業者に対し、契約時に対象物件の水害リスクの情報を説明するよう義務化されます。
このような法改正で、地価下落なんて地域もありそうです。
投資はリスク有りきの事なんで、考えてもキリがないですけど…
あくまで個人の考え方です。
あと同じ相続人である兄弟で、土地を分配して持つことも可能です。
ただ、土地は多くの場合、道路に面した側の方が価値が高く、奥ばった部分の土地は非常に売れにくくなるので注意が必要です。
資産となる場合の選択肢 まとめ
誰も住まなくなった実家が「資産」となるようであれば、思わぬ収入源になるかもしれません。
同じ「貸す」にしても、個人より法人の方が収益が見込めそうです。
ただ法人の場合、交渉力も個人と違い長けてきます。
信頼出来る会社なら良いですが、実は「反社」だった!なんて事もありますので、契約は慎重にしましょう。
そういう意味でも、心強いアドバイザーがいると安心です。
無料で使える下記のサービスも利用してみるのも良いと思います。
【空き家となる実家】の選択肢いろいろ
これまでごく一般的な、空き家となる実家の対策を書いてみました。
今は昔と違い「土地」に対してのニーズは多様化してるし、変化もあります。
一昔前は都心から2時間の地方の町に、新築を求めた時代がありました。
それは奥様が専業主婦であれば、子育てや家を守ってくれ、夫は朝早くから夜中まで家を空けられました。
今は共働きの時代、今度は新築を諦め、会社に短時間で通える中古の物件が脚光を浴びてます。
さらに昨今の新型コロナの影響で、「何もオフィスの近くでなくても、オンラインで働ける」という風潮が出てきてます。
今までは需要なんて考えられなかった場所でも、思わぬ需要が転がり込むかも知れません。
さらに、土地の活用法は「住居」ばかりでもありません。
駐車場 | 月極、コインパーキング |
事業用地として貸す | レストラン、人気レストランの第二駐車場、資材置き場、倉庫、塾、店舗・・・ |
農園として人に貸す | 現況地目変更届を出し、土地を農地とする |
自動販売機 | 遠方だと管理が大変 |
トランクルーム | 運営方法は3つあり、安定収入も |
太陽光発電 | 初期投資が少なく高利回りだが、設置から20年後の固定価格買取制度が不透明なのが不安 |
シェハウス | 注目度上昇中 管理の手間はある |
民泊 | 旅館業法との兼ね合いも |
ざっと挙げても色々活用法はありますが、プロの専門家に相談すれば、もっと「目からウロコ」の活用法が見つかるかもしれません。
タウンライフ土地活用なら、土地の収益最大化プランを複数社から受け取ることができます。
土地活用のプロが「収益性」「費用」「転用性」「相続時の評価額」「実現性」など多角的な視点からアドバイスして貰えます。
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今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。