実家の土地は財産ではなく負債となる?
先日、遠く離れた実家に帰省し、実家の土地と家屋について弟と話してきました。
話は予想外の展開になり、我が家へ帰る車の中で「うゎ~、実家の土地と家、親が亡くなったらどうしよう!」と頭の中でグルグルと堂々巡りになってしましました。
実家には70代の両親が二人暮らしをしています。そして徒歩3分のとこりに弟家族がマンションを購入して暮らしています。
私は長男でありながら地元を遠く離れ、所帯を構えてしまっているので実家の土地や建物は弟に権利を譲るつもりでいました。
しかし、今やこの実家の土地、建物は財産ではなく負債という考えがはびこるようになりました。
実際親が亡くなるとその建物は空き家となり、なんらかの手を加えないと近所にも迷惑をかけてしまいかねません。
弟夫婦は「実家の権利は兄貴が持ってるから俺たちは関知しない」という話です。
それはそうだよな・・・
しかし、当の父親はどうも遺言書を書いているらしいのです。
近くで日頃から親の世話などをしている弟家族が、マンション暮らしをしている事を考えて、先々は実家の家と土地を弟に譲る考えであると私は感じています。
父は遺言書の中身を私に知られたくないようなので・・・
父は昔の人だから「マンション暮らしより戸建ての方が良いに決まっている」と思っているのです。
しかし、譲られた方は固定資産税から庭の手入れ、住居の手入れなどの負担がかかってしまいます。
しかも固定資産税に関しては、空き家となるとこれまでの6倍の措置がとられてしまう可能性まであります。
(平成27年5月に施行された「空家対策特別措置法」による)
ちなみに200平米(約60.5坪)以下の居住用地で固定資産税は6倍、200平米(約60.5坪)以上で固定資産税は3倍となります。
私が家を出たころは、父に近い考えで弟に実家の権利を全て譲ると思っていました。
母が認知症を患ってからは、弟夫婦は献身的に手助けをしてくれていたので手放しで譲る気持ちでした。
しかし、実家が「財産ではなく負債」とみるようになると、そんな迷惑をかけられないと思うのです。
譲り受けた土地をどうするか?の選択肢
譲り受けた土地の選択肢は次の3つしかないと言われます。
それは、①住み続ける・別の用途で使う ②貸す ③売る
①の「住み続ける」は建物が古い上に一部店舗用に建築されています。実は私の母は美容師でその店の一部を美容院にしており、店舗兼住宅の構造なのです。
それを解体して、またはリフォームしてというのはお金がかかることですし現実的でない気がします。
➁の「貸す」に関しては2つ考えられます。
1つは土地を更地にして駐車場にする。これも更地にするまでのお金の問題と、もし駐車場にしても住宅地の真ん中で需要があるのか疑問です。
もう1つは店舗用住宅の構造を活かして、若い美容師さんに貸すという選択です。
これも若い夫婦が旧式の実家を選ぼうとするのか?という疑問です。
私のようなケースでは、➂の「売る」が一番選択されているのではないでしょうか。
家を売る方法としては3つの方法があります。
1.不動産会社に仲介してもらい売る
2.不動産会社に買い取って貰う
3.オークションにかける
2.の不動産会社に買い取って貰う方法はハードルも高く、もし買い取ってくれたとしても仲介にくらべて価格を相当安く見積もられるといいます。
商売ですから、当たり前と言えば当たり前ですね。
3.のオークションはある意味バクチのような性質も持っていると感じます。
上手く行けば値段もつり上がって満足いく結果になることもあるでしょうけど、入札者が少なくオークションマーケットで競争が機能しなければ、残念な取引価格となってしまうことも考えられます。
結局1.の「不動産会社に仲介してもらい売る」が現実的で、私の実家もおそらくこの方法で売り出すと思います。
では、家を売ると決めてからどのような流れが待っているのでしょうか?
家を売るときの流れと考慮するべきこと パート1
私の実家は住宅ローンは完済しており、家を売却するときは心配いらないのですが家のローンが残っていた場合どうするのかも記しておきます。
抵当権
家のローンが返済中でも売却することは可能です。
しかし、売却と同時に返済中のローンを一括で完済させなければならないという条件があります。
そうでなければ売り渡した住宅に抵当権が付いて回ってしまうからです。
抵当権とは住宅ローンを組む時に家や土地を借金の担保として指定する担保権です。
抵当権を持つ貸主は、返済が凍りつくと担保である住宅を競売にかけることもできます。
そのような抵当権付きの住宅では誰も買ってくれないからです。
不動産会社に売価査定を依頼する
先ずは信頼できる不動産会社に売却する家を査定してもらいます。
これはかなり複雑な要素を絡み合わせながら出す試算で、依頼する会社によっても差が出るようです。
例えば、築年数や修繕箇所、地域の相場など多方面から試算されますが、現実的に売れるであろう金額でないと意味がありませんし、相場から逸脱していてもなかなか買い手が表れません。
その為、地域の相場など不動産に任せっきりにするのではなく、自身でも調査をすることも必要かもしれません。
そして、この初めの期間に不動産会社の印象や体質を見抜く努力を怠らないようにしましょう。
後述しますが、今は法律で禁じられている「売り止め」など自社の利益ばかり考えている体質の不動産会社も現実にはあります。
2500万で折り合いが付きそうな買い手が表れても、自社の利益につながらないとそっぽを向き、自社の利益になる買い手なら2000万でも売ってしまうような体質の会社があるのです。
不動産会社と家を売る為の媒介契約を結ぶ
不動産会社に買主を仲介してもらうための媒介契約を結びます。
この段階になって不動産会社に不信が募っていれば、媒介契約を交わすのを止めて他の不動産会社に移るのも手です。
そうでなければ、そろそろ気心が知れてきたであろう同じ不動産会社と契約を交わすのが通常の流れになります。
不動産媒介契約は次の3種類があります。
◆ 専属専任媒介契約
買主を見つけるための販売促進活動や仲介業務 | 契約を交わした不動産会社のみ (他の不動産からの送客は依頼した不動産を介さなければならない) |
不動産会社から売主に対しての活動報告義務 | 1週間に1回の報告義務 |
国土交通大臣指定のサイト「レインズ」に登録義務 | あり |
売主、自らが買主を見つける活動をする権利 | なし |
◆ 専任媒介
買主を見つけるための販売促進活動や仲介業務 | 契約を交わした不動産会社のみ (他の不動産からの送客は依頼した不動産を介さなければならない) |
不動産会社から売主に対しての活動報告義務 | 2週間に1回の報告義務 |
国土交通大臣指定のサイト「レインズ」に登録義務 | あり |
売主、自らが買主を見つける活動をする権利 | あり |
◆ 一般媒介契約
買主を見つけるための販売促進活動や仲介業務 | 複数の不動産会社に仲介を依頼できる |
不動産会社から売主に対しての活動報告義務 | 報告義務なし |
国土交通大臣指定のサイト「レインズ」に登録義務 | 登録義務なし |
売主、自らが買主を見つける活動をする権利 | あり |
通常はどの不動産会社でも「一般媒介契約」は嫌がるので、その様子で不動産会社に対して不信感を持つのは早とちりでしょう。
多くの場合は専属専任媒介契約か専任媒介契約を結ぶことになります。
そして、一度「媒介契約」を交わしたらずっとそこの不動産でお世話になるということではなく、契約は3か月ごとの更新となります。
ここで不動産会社の利益の仕組みを見てみましょう。
家を売るときの媒介契約を結ぶ前に知っておきたい不動産会社の利益の仕組み
家を売却するときの不動産会社の利益は、不動産仲介手数料になります。
その時の手数料は上限が法律で定められていて、
物件取引価格200万円以下の場合 | 取引価格の5%以内 |
物件取引価格200万円超え、400万円以下の場合 | 取引価格の4%以内 |
取引価格400万円超えの場合 | 取引価格の3%以内 |
となります。上記の上限価格を超えて手数料を提示してきたらその不動産会社は要注意です。
そして仲介手数料は合法的に行われると次のようになります。
例えば物件価格が2000万円で取引された場合、仲介手数料は60万円まで提示できます。
そしてその仲介手数料は売り手からだけでなく、買い手からも得ることができます。
ですので、売り手、買い手合わせて120万円が利益として入ります。
このように売り手、買い手から手数料を貰えることを「両手物件」と言います。
それに対して片手物件とは売り手からは「専属専任媒介契約」なので仲介手数料が入りますが、買い手は別の不動産から舞い込む場合があります。
下の図はその例です。
専属専任媒介契約を請け負ったA不動産が、営業活動として広告を打ったのに対し、B不動産のお客様がB不動産を通してA不動産に買い手を仲介するとします。
するとA不動産は買い手からの仲介手数料は取り損ねる形になります。
また、「専属専任媒介契約」を交わした不動産会社は国土交通大臣指定の流通機構に登録しなければなりません。
レインズという業界人しかみれないサイトがあり、そこに物件が登録されることにより全国の不動産会社が自社の物件のような形で広告を打ったりします。
ですので、同じ物件がA社にもB社にも紹介されることが起こります。
この場合も同じように「片手物件」となりA不動産は売主からしか仲介手数料をもらえません。
そこで、悪徳不動産の場合そもそもレインズに登録をしなかったりします。
また悪徳不動産は「売り止め」という行為も働いたりします。
上図のC不動産がA不動産に買い手の仲介を促すと、「もう売れた」など売り拒みをすることを「売り止め」といいます。
平成13年にこの「売り止め」は法律で禁止されるようになりました。
しかし、現実には「売り止め」は完全になくなってはいないようです。
悪徳不動産の場合、自分の不動産を訪ねてくる買い手が現れるまで売り渋りを行い、いつまで経っても売れません。
酷いところになると、2500万で買いたいという買い手がC不動産に表れても、それを蹴って1800万に負けてくれという自分の不動産に表れた買い手に売ってしまうような事までします。
ですので、媒介契約は3か月更新です。
不信に感じたら別の不動産にも相談してみてはいかがでしょうか。
家を売るときの流れと考慮するべきこと パート2
ここで不動産が一生懸命な良心的な会社であれば、販促、営業活動、規定の活動報告、価格や戦略相談、を熱心に行ってくれます。
そして上手く行けば、内見、売買価格交渉と進みます。
内見は事前に不動産会社からアポイントの連絡が入り、色々なアドバイスを貰えます。
ちなみに、まだ生活を送っていても行われます。
そして、買い手と売り手の間で最後の価格交渉へと進みます。
ここで注意したいのは、一般的に売り出し価格そのままで売れる事は殆どありません。
妥協点を見出して値下げ価格で売ることになると覚悟も必要になります。
最後に売り手、買い手、不動産会社、司法書士などを交えて決済手続きに入り終結します。
また、固定資産税はその年の1月1日に住んでいた側が払わなければならない為、それ相応の支払いを買い手から受け取る権利もあります。
最後に、私のように「売る」しか選択肢がない方ばかりではないはずです。
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