今回は店頭で商品を販売する販売員、または外に足を運んで契約などを結ぶお仕事の営業パーソンの方むけのお話しになります。
私もその道を永いこと歩んできましたが、私のような凡人ですとどうしてもスランプなる現象に陥ることがあります。
そんな時に参考になるようなお話をしたいと思います。
お客様の頭の中身をいかにドーパミンで満たしていくかを考えるべし
人は買い物を決断するとき、ロジック(理屈、理論)で決断するのではなく、情動、感情によって決断するという事が解っています。
例えば商品知識を用いて、その商品の説明をしている時こんな経験はありませんか?
(説明途中で、もしくは説明を終えた後)
◆ うっかり専門用語を使ってしまった、あの部分の説明は伝わったかな?
◆ すこし説明がマニアックになりすぎたかな?
でも、商品説明を聞いてくれたそのお客様は、こんなこちらの心配はよそにニコニコと満足している様子。
(もちろん、???? という顔をされるときもあるし、それが普通ですが…今回の話はそうでないケース)
このときのお客様の気持ちはこんなことはないでしょうか。
やはりこの人を信用しても大丈夫そうだな。
人柄だけでなく、商品にも精通してるようだ。
この人がこんなにも自信たっぷりに薦めてくれるのだから安心していいだろう
つまり、商品説明に対しての理解でなく、セールスマンへの信用に対して理解を深めた、とういう満足です。
ここまで持ち込めれば、お客様の信用を勝ち取り、商品を売り込むという目的達成はすぐそこまで来ている状態です。
これは正に「セールスマンの人柄」 + 「セールスマンへの信用」という情動の働きを表しています。
そして、お客様の脳内にはドーパミンがあふれ心地よい状態になっているのです。
※ もちろんすべてのケースがこのように、「お客様がセールスマンを信用して情動によって決断する」ということはないでしょう。
しかし、このようなケースはセールスマンにとっては理想であり、お客様のリピートや紹介をも期待できるケースではないでしょうか。
ドーパミンとは何でしょうか
それでは、お客様が購買決定をするとき頭の中を満たしているという「ドーパミン」とは何でしょうか?
私たち人間は、嬉しい時、気分爽快な時、心地よい時、気持ちいい時、脳内に「報酬系」と呼ばれる物質ドーパミンが生み出されます。
そのドーパミンはある心地よい事柄があるとして、それを受け取れそうだと期待をよせた時からドンドン湧き出てきます。
生物学的に言うとドーパミンは快楽を覚えると、その快楽を受け取る前の段階から期待感によって発動され、その強さは強力で本能的欲求にも勝るほどだそうです。
例えば何万年もの間、途絶える事なくバトンが受け継がれてきた子孫を残すための行為。
猛獣がウロウロするような環境下では、その行為は大きな隙をつくり危険をともなったにも拘わらず「安全欲求」を上回る状態だったと言えそうです。
マウスでの実験では、あるレバーを押すと脳に報酬系の物質がながれる仕組みの電極を仕掛け、調べてみるとお腹を空かしたマウスでも餌よりもレバーを押すことに集中したそうです。
これは1番低次な「生理的欲求」にも勝ったといえる結果でした。
そしてそのドーパミンの発動は
①「楽しい行為、心地よい体験」の時
➁「楽しい行為、心地よい体験」の直前(期待感)
③「楽しい行為、心地よい体験」を想像する時
に起こると解っています。
これを買い物に置き換えて考えると、その商品を手に入れることによって受け取るであろうメリットを想像して発動します。
多くの場合、「買う」と決断したその時はまだその商品を使用もしていないし、商品の恩恵にも預かっていないのでお客様は上の➁、③によってドーパミンを満たしているということになります。
そのようなドーパミン誘発を促すのが上手な方で、誰もが知っている人と言えばジャパネットたかたの高田 明社長です。
高田社長の引き込まれるようなセールストークはその商品の特徴と、その商品を手にした時に得られる消費者の生活向上を巧みにイメージさせるトークです。
ムービーのズームを訴えるとき、機能性の話にとどまらず「これからはお子様の運動会に朝早起きして陣取りをしなくても、後ろからでもハッキリと表情まで撮ることができます」など一歩上の生活スタイルをイメージさせるようなトーク。
それを観ていた視聴者は正に「商品そのもの」でなく③の「メリットを受け取ったあとの生活を想像」してドーパミンが出ているのです。
そして一度ドーパミンが発動されるとそれは強力で、一歩上の生活スタイルのイメージはそうそう簡単には消えません。
欲しくて欲しくて仕方なくなります。
これが情動によって買うということです。
情動は理性を上回る
お客様は多くの場合、理論理屈で「買う」を決定するのではなく、感情によって「買う」を決めるという事をお話ししました。
しかし、ここでブレーキ役が現われます。
それが「理性」です。
★ これは本当に必要か
★ どれくらいの頻度で使うのか
★ グレードは本当にこの程度でないといけないのか
★ 価格は本当に適正か
★ 他にも良い物はないか
などなどです。
しかし、このようなドーパミンと連携された欲しいという「感情」とブレーキ役の「理性」、先に起こるのは「感情」、そのあとに「理性」が顔を出します。
そしてドーパミンが沢山満たされた場合、感情が理性を上回ると言われています。
ですので、いかにマックスの量のドーパミンを発動させるか?が鍵となると言えそうです。
ドーパミンの誘発はスタートから
営業の現場では欠かせない「笑顔」。
笑顔は「お金がかからない最高の販促」とか「商は笑なり、笑は勝なり」など笑顔の重要性が語られています。
また、低姿勢についてもです。
これはお客様の頭の中身を考えた側面から見ると、お客様と出会ったその時からあの手、この手でドーパミンを誘発させるためなのです。
営業であればアポイントの電話から始まります。
店頭の販売員であればお客様への第一声から始まります。
ですので、お客様が受け取る営業マン、販売員の第一印象がとても大事になります。
第一印象を勝ち取る指針「メラビアンの法則」
アメリカの心理学者メラビアン氏による実験で、被験者が相手からどのように情報を受け取り感じるかを試した実験があります。
「笑いながら叱る」とか「冷たい表情で誉める」などです。
その結果から「表情」>「声の調子」>「言葉の内容」となったそうです。
このことから、人は非言語コミニケーションの方を言葉の内容よりも「本音」として受け取る傾向にあると思われます。
※ 今、日本で多く知られている「メラビアンの法則」
見た目 55%
話し方 38%
話の中身 7%
という法則は先の実験結果を引用して一部の人々から都合よく解釈された俗説となります。
非言語での誠実そうな「仕草」、「表情」
優しそうな、元気な、自身にあふれた、「語り口」
これは相手に安心感を与え、ドーパミンを引き出すためのいわば、ウォームアップ作業になりそうです。
お客様が話すことに夢中になってくれたら勝ち
次に会話ですが、会話は入れ替わるにせよ「話し手」と「聞き手」に分かれます。
その時、売り手は話題を引き出し、話題に花が咲くころを見計らって「聞き手」に徹することです。
会話というのは「話し手」が心地よく、「聞き手」は忍耐が必要になります。
それが、お客様にとって有益な情報だとしても、一定時間話を聞きっぱなしというのはやはり「忍耐」がともなうので、そこには「心地よさ」は産まれません。
ドーパミンが発動されないのです。
お客様に「話し手」になってもらい、上手に合いの手を入れ、時には深く掘り下げた質問をしたり、驚いたり、関心したりするとお客様の頭の中はドンドンとドーパミンが増してきます。
この時の話の中身は何でも構わないのです。
商品の話やお客様の仕事の話、それどころかお客様の趣味、プロ野球、映画、旅行、ニュース、政治・・・
何でもです。
お客様が関心を持つような、夢中で話を繰り広げられるな話題なら何でもいいのです。
ここでの目的は「お客様の頭の中身をドーパミンで満たすこと」なのですから。
ここでチョット面白いリアクションのコツを紹介します。
これは相手(お客様)が男性の場合ですが、
男心をくすぐる「さしすせそ」です。
さ・・・流石ですね
し・・・知らなかった
す・・・凄い
せ・・・センスが良いですね (センスは見た目だけでなく選択、効き目なども)
そ・・・そう、そう! (共感)
私的にはどれも「尊厳欲求」を刺激する男女に通用するリアクションにも思えますが。
営業マンの場合、商品の売り込みをする前に、何度もお客様のもとに通い、挨拶、信用の売り込み、人間関係の構築をしなければならないケースも多いです。
そのような段階でこの事を気を付けていると、お客様は営業マンの顔を見るだけでドーパミンが出てしまうようなケースも起こります。
まとめ
◆ 物を買うときお客様は感情で「買う」を決意することがほとんど。
◆ その鍵はお客様の頭の中のドーパミンの量が握っている
◆ 理性がブレーキをかけるが、ドーパミンは非常に強力でその量によっては理性や本能的欲求をも上回ってしまう性質がある
◆ ドーパミンの量をマックスに持ってくために、そのための作業はスタートから始める
◆ お客様は非言語コミニケーションをよく見て(聞いて)いて、それを「本音」と感じる
◆ 相手に気持ちよく話をさせる事は、営業活動の中でも最大級に効果のあるドーパミン誘発作業
今回はスランプに落ち込んでいる営業パーソン、販売スタッフのためのチョットしたヒントをお届けしたつもりです。
営業は商品を売り込む前に自分を売り込めと、よく言われます。
自分を買ってくれないお客様は、その人から物を買ってくれないという意味です。
ドーパミンという観点からお話をしてきましたが、日頃から「好かれる自分」磨きが必要になり、そのための努力は決して人生でもマイナスになる事はないでしょう。
真面目だけではダメですし、聖人のような完璧を目指すのも少し違うような・・・
勿論、万人に好かれることは不可能でしょう。
自分の個性を生かしつつ、人が喜こぶのを見るのが好きという方向で磨いていけば何とかなるのかな?と思っています。
本日も最後までお読み頂きありがとうございました。
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