近所の公園に出かけたりすると、愛犬をつれて散歩を楽しむ人を多く見かけるようになりました。今は10月ですので、散歩中の熱中症の心配もなくなりどの時間帯でも見かける光景です。
しかし、秋になると余計に気を付けなければならない心配ごとが「マダニ」による被害です。
マダニの発生ピークは春と秋
毎年夏になると、マダニによるウィルス感染の被害や注意を促すニュースやトピックがテレビや新聞におどりますね。
それは、夏になると薄着になるので小さなマダニに喰われないように気を付けましょうということなのですが、じつは、マダニの採取数は春と秋がピークになるのです。
下のグラフは日本獣医師会獣医学術学会年次大会で発表された全国のマダニ採取数を表したものです。
このデータを見ると10月はまだまだ、警戒しなければならない季節なのだな、と思い知らされます。
愛犬にマダニがつくとどんな困ったことがおこるのでしょう
マダニは吸血鬼のように、人や動物から血を吸って成長していきます。
一度噛みつかれると、その針はギザギザな形で簡単には抜けません。しかも強固に固まる液を出して、動物や人に皮膚との接点をガッチリとガードします。
ですので、愛犬の皮膚にマダニを発見しても安易に取ろうとしてはいけません。頭だけ残して胴体が取れる可能性が高いです。
そうすると、人間の死亡例も確認されている恐い「ウイルス」がマダニの頭から動物や人の身体に流し込まれてしまったりします。
もし、身体にマダニが付いていることが解ったら動物なら動物病院、人なら病院に行きましょう。
犬バベシア症・・・犬への感染症
バベシアに感染しているマダニに噛まれた際、唾液からバベシア原虫が犬の体内に送り込まれ、犬の赤血球を破壊してしまいます。
貧血、発熱、食欲不振、黄疸などがみられ、急性の場合には死に至ることもあります。
マダニに噛まれたあと、48時間で感染するようです。
犬バベシア症が2009年から2010年に1例以上診断があった自治体は下の赤い都道府県です。
ライム病・・・動物、人への感染症
マダニに噛まれてから数日から数週間後に、遠心性の紅斑が見られ、頭痛や関節痛、悪寒というように風邪のような症状がみられます。
皮膚症状、神経症状、関節炎などに至り、抗生剤によって治療されます。
日本紅斑熱・・・人に感染
マダニが人にリケッチアという病原体を移すことで発症します。2017年は8月までに全国で100人を超える患者数となり、激増しています。
非常に怖い病気で、手足の壊死や死亡例もあります。
潜伏期間は2日から8日ほどで、頭痛、発熱、倦怠感を伴って発症します。そして全身への発疹がみられます。
SFTSウイルス・・・人や動物に感染
マダニが媒介するウィルスで、2011年に中国の研究者らによって発見されました。日本では2013年に始めた感染者が出ました。
それから2017年9月までの国内感染者数は303人で、そのうち死亡者は59人にも登ります。
国内で最初に感染が見られた2013年1月から2017年5月までにマダニからSFTSウィルスが確認された自治体は33道府県です。
特に西日本が多いようですが、タヌキなどの野生動物のSFTSウィルスの抗体保有率が激増しているそうで、全国に拡がるのも時間の問題のようです。
愛犬がマダニの被害にあわないようにするには
マダニは田舎の野山だけではなく、都会の公園など植物が生えているところならどこでも居ると思った方が良いです。
ペット用の予防薬では48時間でマダニを死滅させる薬もあります。
マダニの寄生をチェックする方法
マダニは3ミリから4ミリ程度の目で見えるほどの大きさです。
散歩から帰宅したら頭、耳、目のふち、お腹、足の指の間、背中、しっぽなどをチェックします。
マダニは比較的毛の少ない部分に寄生するケースが多くあるようです。
そして、マダニを見つけたとしても自分で取ってはいけません。
必ず動物病院で取って貰いましょう。
ムリに取ると病原菌を移したりします。
飼い主(人間)は刺されていないのに、ペットから感染する事例もあり!!
マダニによってペットが悪しきウィルスに感染し、それと同時に飼い主からはマダニの痕跡が無いにもかかわらず、ウィルス感染していたという事例もあります。
それはウィルス感染したペットが飼い主の手などを舐め、(唾液からウィルス付着)その手で目をこすったり(粘膜からウィルスが侵入)して感染するという症例です。
マダニがもたらす感染症は多岐に渡り、死に至るケースが多くあります。
(SFTSウィルスの場合致死率は 30%~63%)
小さなお子様やお年寄りがいるお宅では特に、ペットの様子をよく観察し家族への感染を防ぐことが大事ですね。
本日も最後までお読み頂きありがとうございました。
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