私の両親はありがたいことに今も健在で元気に過ごしています。
若い頃に、または物心がつく前に親を亡くしてしまった方が世の中には沢山いらっしゃる中、幸せなことです。
私の親は高齢で父は77歳、母は76歳になります。
いつお別れしてもおかしくない年齢です。
私は19歳の時に親元を離れましたのでたまに帰省すると、親の老け込みがコマ送りで感じて来ました。
現在は親が住む実家から車でも電車でも2時間半ほど離れた県外に住んでいます。
その代わりに弟夫婦が歩いてすぐそばのところにマンションを買い住んでいます。
親が抱える辛い現実を助ける事ができない心苦しさ
そして私の母は認知症を患っています。
母のお母さんも晩年はそうでしたから遺伝性になるのかな?・・と思います。
弟夫婦が近くに住んでいるとは言え、孫ももう祖父母に寄り付くような歳でもなくなり今はほぼ老夫婦2人で暮らしています。
何が親を苦しめているかというと母の認知症は「父の浮気妄想」で母本人は決して嘘でも妄想でもなく、頭の中に何故か組み込まれてしまった「現実」なんです。
そこで、母は「いつか父に捨てられる」という不安から父にひどく当たったりします。
父はその妄想に対して憤慨し、「お前の身の回りの世話を一日中やってて、そんな訳ないだろう!!」と”病気なんだから仕方ない”といった受け流しができません。
始めのうちは私や弟もしきりに、母に対して「浮気の疑い晴らし」「妄想によるというアリバイや証拠」など母の妄想に対して誤解を晴らそうとあの手、この手でした。
しかし、解ったことは1つ。
本人の頭に組み込まれてしまった現実は周りの誰が、どのように否定しても騒いでもどうにも変わらないということ。
しかも、余計に意固地になるしこちら側のロジックや証拠を示した論理も、話が終わればすぐに忘れてしまうのですから・・。
認知症患者というのは記憶などは忘れても、心に起こった感情の喜怒哀楽はずっと引きずるそうなのです。
それでも昼は浮気の妄想も起こらず、上機嫌な事が多いのですが・・
夜になるとまた妄想が始まるので、急に不機嫌になったりダンマリしたり、父に食ってかかったりします。
その度、父はそれを受け流すことはせず、反論、喧嘩に発展してしまいます。
認知症による浮気妄想がなくなってきた
私を含め、周囲は父のストレスに心配の目を向けます。
母の妄想に1つ1つ、まともに反応して抗議をしたり、ムキになって怒ったり・・・
1日中、2人でいるのだから、ストレスも尋常ではないはず。
浮気を疑われている訳だから、父が一人で気ままにブラブラ出かけると、帰ってきてうるさく言われるからどこに出かけるのも2人。
「たまには1人になりたい・・・」そんなセリフが多くなり、3年前に介護認定を取得して母をデイサービスに週2回出すことになりました。
母の状態はというと、たまに帰っても私から見るかぎり進行はそれほど進んでいなく、笑いもすれば表情も豊かです。
火の扱いは父にしないよう言われているせいか、台所には洗い物くらいしか立ちませんが。
(火は使わないように、という言いつけは守れる・・・記憶って不思議だな、と思いました)
更に、例えば「おととい○○さんと何処どこに行った」という話を父が始めると、母が「あの時はチョメチョメで・・・」と話に参加します。
でも、今回のように私が実家に帰省して、夜実家から我が家に帰って「着いたよ」と電話すると母は「え?どこ行かに行ってたの?」ともう私が帰省していたことを忘れているような始末です。
そのように、記憶に波があり、感情もそれほど退化していない母ですが、ここのところ浮気の話をしてこなくなりました。
以前は父が怒るので父の前ではしませんでしたが、父がチョット居なくなると必ず父の浮気の愚痴をしてきたものです。
「妄想だよ」とか「そんなはずないよ」というのは逆効果なので、私は「そうなんだ」「そんなことしてんだ」などと妄想の愚痴に付き合っています。
これも父の前でやると父は私にも怒鳴ってくるので私も父が居なくなったこの間だけのリアクションです。
それがどうも、デイサービスを最近違う施設に変えたのですが、それから言わなくなったように感じます。
父にも聞きましたが、昔ほど言わなくなったといいます。
私は以前の様子、父がトイレなどで席を立って居なくなった僅かな隙に『必ず』言って来たのを思うと、今は父が、歩いてコンビニに行こうがまるで浮気の愚痴を口にしない母に驚いています。
デイサービスの施設を変えたら浮気妄想が治まってきた
以前まで通っていた母のデイサービスはこんな感じでした。
こんな感じで、とてもつまらない様子でした。
そんな様子であることとは知らなかったのと、母本人も「こういう所はこんなものなんだ」と思い、ただただ「今日は行きたくない」と訴えるくらいで詳しくは語らなかったのです。
父に「今日は何してきた?」と聞かれると「塗り絵」「歌を歌った」などの返答なので。
しかし、別件でその施設の管理人と父がトラブルになおしった時、母が溢れんばかりに施設の不満を父に訴えたそうで、そこで様子を初めて解ったそうです。
そして、即新しい施設をケアマネジャーと相談し探しまして、運よく直ぐに申し込みが出来たので移りました。
そこでは、会話禁止などもなくワークをやっても良し、寝てもよし、雑談して過ごしてもよし、私の母は物忘れは進んではいますが、おしゃべり好きでよく笑う人ですので、今度は気に入っているようです。
そして、父に対する浮気妄想もゼロではないですが、かなり少なくなりました。
妄想の回復と施設引っ越しの因果関係はハッキリとは解りませんけれど、私たち家族からみて「きっと施設のおかげなのでは?」と感じています。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
追伸
認知症で周囲を困らせるのは記憶障害などの「中核症状」よりも、騒ぎ立てたり私の母のような妄想、徘徊、暴力などです。
これにはアルツハイマー患者によく使われている薬、アリセプトに原因がある場合があるそうです。
アリセプトには興奮させやすい副作用の可能性があるからです。
詳しくはこちらの記事を読んでみてください。
コメント