前回の「相手を攻めても得るものは無し」を突き付けられた本で書いたように、人に何かを解らせようと、責めたり批評しても相手に真意を伝えることはできません。
まして「相手の人間性を変えよう」なんて考えるのは、愚の骨頂であると結論づけました。
では問題を起こしたり、チームの輪を乱したりするような困った部下に、どう接したら良いのか?
相手に欲求を起こさせる
他人に「変わって貰いたい」と思うなら、相手に欲求を起こさせることが大事なんです。
それには相手を観察し、相手を知るべく関心を持ち、積極的にコミニケーションを持たなければなりません。
その時大事なのは、相手の立場や都合、そして相手の長所を理解することに重点を置くということです。
そこから「相手の欲求を知る」事ができます。
貴方がレストランのオーナーだったとして、Aさんという接客態度に問題がある従業員がいるとします。
貴方はどうしたら叱るという選択肢をとらずに、Aさんの接客態度を改善できるかを考えます。
この本では、その鍵は人間誰もが持つ「自己重要感」だと説いています。
人間の欲求は多くの場合
1.健康と長寿
2.食欲
3.睡眠欲
4.金銭およびお金で買えるもの
5.来世の生命
6.性欲
7.子孫繁栄
8.自己の重要感
※ このリストは厳密に考えられた人間の欲求ではなく、著者Dカーネギーが大雑把に思いつく一般的な欲求として挙げられたものです。
この中で「めったに満たされることのない欲望」、しかも皆が渇望するほど欲求の強いものが8番目の「自己重要感」だと言います。
では、先ほどの例に戻りますが、Aさんを観察していくと色々な気付きがあるはずです。
◆ そこから見える欲求は、多くの場合「自分を認めて欲しい」「自分をもっとあてにして欲しい」などの自己重要感です。
◆ しかし、オーナーである貴方から見て、Aさんの接客態度には憤りを感じます。
ですから、強く意識して観察しなければ、Aさんの長所など目にも止まりません。
◆ まず、観察をはじめたらAさんの立場(生い立ち、環境、人間関係、プライベートな事情など)になってなるべく理解して肯定します。
◆ すると色々と長所が見えてきます。
「○○なわりにはこの程度まで(それが不完全でも)頑張っているのだな」とか。
◆ そこで見つけた長所を認めて、口に出して伝える。
この事を繰り返して色々な長所を見つけては口に出して認めていること、気付いている事を示していきます。
この行為によって、徐々にAさんは自己重要感が満たされていきます。
また、自己重要感が心の闇に埋もれて薄いように見える人でも、この行為によって自己重要感が育まれ、大きな欲求へと変わっていきます。
アメリカの心理学者オーヴァストリート教授の言葉で「先ず相手の心のなかに強い欲求を起こさせること。これをやれる人は、万人の支持を得ることに成功し、やれない人は、ひとりの支持者を得ることにも失敗する」
という一文が紹介されていました。
相手の欲求を満たすことを喜びに
著者のD・カーネギーは、次の言葉をいつも目の届くところに貼ってあるそうです。
「この道は一度しか通らない道。だから、役に立つこと、人のためになることは今すぐやろう。先延ばしにしたり、忘れたりしないように。この道は二度と通らない道だから」
先ほどの「長所を認め、口に出して伝える」という行為ですが、ここで気をつけないといけないのが、お世辞は使わないという事です。
相手の長所に対して、心から湧いてくる正直な想いを伝える事が大事ということです。
それは「感嘆(かんたん)のことば」です。
「お世辞」と「感嘆のことば」の違いは、前者は利己的で後者は没我的、前者は誰しも嫌うが、後者を言われて悪い気がする人はいない、と言っています。
この行為を自分の喜びに変えることが、人を引き付ける人となれる大事な要素になることは間違えなさそうです。
本日も最後までお読み頂きありがとうございました。
コメント
[…] 叱っても人は絶対に変わらない! ではどうすればいいの??? […]